International Business Machines Corp.の略称。アメリカにある世界最大のコンピューター・メーカー。本社ニューヨーク州アーモンク。コンピューターでは設置金額ベースでアメリカ市場の約2/3,世界市場でも約1/2を占めていることから,コンピューターの〈巨人〉と呼ばれている。IBMは,1896年にアメリカの統計技官ハーマン・ホレリスによって設立された事務機会社タビュレーティング・マシーンズ社Tabulating Machines Co.をその出発点としている。同社は,1911年にニューヨークの実業家フリントにより買収され,彼がすでに買収していた自動はかりとタイムレコーダーをそれぞれ生産する2社と合併して,CTR社(Computing Tabulating Recording Co.)となった。これがIBMの前身である。CTR社は設立当初,経営不振が続いたため,NCR社のセールスマンだったトマス・ワトソンが14年社長となった。その後,PCS(パンチカード・システム)による統計機の開発および生産設備の拡充に努め,PCSの販売基礎が固まった24年に現社名に改められた。コンピューター業界への参入は53年で,PCSを使った700シリーズ,650シリーズを開発した。次いで,60年に第2世代機といわれるトランジスターを使った7000シリーズ,64年に第3世代機といわれる集積回路を使った360シリーズ,70年に第3.5世代機といわれるLSI(大規模集積回路)を使った370シリーズを,というように,つねに世界のコンピューター業界をリードしている。また通信分野への進出を強化するために75年に発足したSBS(Satellite Business Systems)に出資している。近年はソフトウェア事業(2004年売上比率16%)にも力を入れ,サービス部門(同48%),ハードウェア(同32%)に次ぐ柱になっている。典型的な多国籍企業で,百二十数ヵ国に進出し,売上げも海外のウェイトのほうが高い。在日法人として日本アイ・ビー・エム社(1937設立。59年現社名に変更)がある。売上高963億ドル(2004年12月期)。
→コンピューター産業
執筆者:徳田 賢二
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…なかでも1960年完成の日本最初のオンライン・リアルタイム・システムである国鉄の自動座席予約装置,MARS‐1は,最新のコンピューター利用法として評判が高かった。 IBM社が60年生産開始の7000シリーズは全面的にトランジスターを使った第2世代の実用機で傑作といわれ,国産機の性能が著しく劣ることとなった。さらに特許関係の問題もあって,国産メーカー各社は60年12月にIBMと基本特許使用契約を結ぶとともに,IBMとの対抗上アメリカの有力メーカーとの技術提携に踏み切った。…
…NCR社長のパターソンからは多くを学んだが,販売方針で対立して13年に解雇された。翌14年,はかり,タイムレコーダー,統計用製表機を扱っていたコンピューティング・タビュレーティング・レコーディング(CTR)社の再建を引き受け,24年には代表取締役となり,社名をInternational Business Machines(IBM)と変えた。35年の社会保障法の成立に伴って政府から統計機の多額の注文を受けて事業を拡大する一方,1933年から4年間は国際商業会議所の会頭を務めた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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