下間氏(読み)しもつまうじ

改訂新版 世界大百科事典 「下間氏」の意味・わかりやすい解説

下間氏 (しもつまうじ)

本願寺坊官家。清和源氏源頼政の後裔で常陸国下妻出身の宗重が出家して蓮位坊と号し親鸞随従したのを初めとする。以来子孫は本願寺に仕え,本願寺5世綽如時代(1350-93)には,親鸞をまつる影堂の開閉をつかさどる鎰取役(かぎとりやく)となり,御堂の勤行を行う御堂衆も務め,しだいに重要な地位を占めるようになった。寺務は本家の嫡子が奏者となって統御したが,一族侍衆である殿原衆となり,また本願寺一門に仕える者も多かった。本願寺組織の中で下間氏の職掌は宗教的・俗的両面にわたるもので,内衆として執事的役割を果たすものであるが,9世実如は幼少の証如の補佐を下間蓮応兄弟に依頼しており,一向一揆武家との対立にも枢要な役割を果たした。1559年(永禄2)本願寺が門跡に列せられると,下間家は坊官となり,東西分派には頼廉が西派,頼竜が東派の坊官を務め,1871年(明治4)坊官が廃止されるまで大きな勢力をもった。
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