似非者(読み)エセモノ

デジタル大辞泉 「似非者」の意味・読み・例文・類語

えせ‐もの【似非者】

身分の卑しい者。
「よき人さらなり、―、下衆げすの際だになほゆかし」〈・一五九〉
にせ者。
「但し、―にこそ候ふめれ」〈今昔・二七・三四
くせ者。したたか者。意地の悪い者。
此家のあるじは世に聞こえたる―にて候」〈義経記・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「似非者」の意味・読み・例文・類語

えせ‐もの【似非者】

〘名〙
① 見かけはそれらしく見えるが、実は別の者。にせ者。えせびと。
※今昔(1120頃か)二七「ゑせ者にこそ候めれ。其の故は、実(まこと)の鬼神ならば、己が名こそ可呼きに」
② 備えているはずの、また、備えていなければならない性質才能技量、身分などが劣っている人。とるにたりない者。いやしい者。えせびと。
落窪(10C後)二「論なうえせ物に局(つぼね)おそひ敷かれむかし」
③ 一癖ある人。一筋縄ではゆかない者。不敵な者。えせびと。
※日蓮遺文‐国府尼御前御書(1275)「夫れ日蓮は日本第一のゑせ者なり」
④ 悪い者。ふとどきな者。えせびと。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)六「えせ物で有たげなぞ」
浄瑠璃・浦島年代記(1722)二「安康天王をしゅそし、女御御産をさまたぐるゑせ者」

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