家庭医学館 「分娩まひ」の解説
ぶんべんまひ【分娩まひ Birth Injury to Peripheral Nervous System】
分娩時に産道(さんどう)で胎児(たいじ)の末梢神経(まっしょうしんけい)が圧迫されてまひがおこるものです。顔面神経まひ、横隔膜(おうかくまく)神経まひ、腕神経叢(わんしんけいそう)まひなどがあります。
[症状]
神経の損傷が一時的な圧迫によるものであれば、症状は一過性で自然に治ります。顔面神経まひは、泣くと口がゆがんだり、眼瞼(がんけん)(まぶた)が閉じないことで気がつきますが、特別な治療は不要です。
腕神経叢まひは、頸部(けいぶ)を通って腕に行く神経の束が、分娩時に伸びきったり圧迫されて傷ついておこります。自然に治ることが多いのですが、まひしている部分を十分に動かしたりマッサージすることが機能回復に有効です。
横隔膜神経まひは腕神経叢まひと同様の原因で生じます。新生児は腹式呼吸を行なっており、横隔膜が動かないと呼吸がうまくできないため、適切な呼吸管理が必要になります。