取引高税(読み)とりひきだかぜい(英語表記)transactions tax

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「取引高税」の意味・わかりやすい解説

取引高税
とりひきだかぜい
transactions tax

製造・卸売小売のすべての段階における取引額を課税標準とする間接税。日本では,1937年に戦費調達を目的として案出されたが,当時の政情不安から議会には上程されなかった。その後 1948年に取引高税法が制定され,物品販売業,銀行業,製造業,運送業など全 39業種を対象とする税率 1%の国税として,印紙納付方式により課税されるようになった。しかし,中立性を欠くことや納税手続きが煩雑であることから中小零細事業者や国民の強い批判を浴び,1年 4ヵ月で廃止された。第2次世界大戦後の急激なインフレーションの時代にあって,経済復興や国民生活安定のために巨額な税収を必要としたために増税の一つの方法として選択されたが成功しなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の取引高税の言及

【流通税】より

…この形態の税の多くは手数料から発展した。 流通税の例としては,印紙税(印紙),登録免許税,有価証券取引税,取引高税,付加価値税,とん税,特別とん税などがある。印紙税は,財産権の取得や喪失,契約の締結などに関連して発行される特定の証書や帳簿などに課される税であり,手形,有価証券,商品券などの文書に課税され,印紙,証紙の形で徴収される。…

※「取引高税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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