翻訳|tax base
課税要件の一つ。納税義務者が最終的に税額を納付するための要件を課税要件というが,これは,課税主体(だれが納税義務者か),課税客体または課税物件(何に課税するか),帰属(課税物件はだれに属するか),課税標準および税率から構成される。課税物件は,納税義務者の担税力の指標を示すもの,すなわち経済的事象または状態である。具体的には,所得(所得税,法人税の場合),相続,遺贈および贈与による財産取得(相続税,贈与税の場合),所有権の移転登記・保存登記・抵当権の設定登記および所有権移転仮登記(登録免許税の場合),課税文書の作成(印紙税の場合),製造場からの酒類の移出(酒税の場合)等が課税物件である。課税標準は,これらの課税物件を金額,数量等で表示したものである。所得であれば所得金額(収入金額マイナス必要経費金額。法人の場合は益金の額マイナス損金の額),相続であれば所得財産価額の合計額,登録であれば不動産価額または債権金額等,課税文書の作成であれば記載金額が課税標準であり,これらのように金額や価額を課税標準とする租税を従価税という。これに対し,キロリットル,アルコール分(40度,25度,15度),エキス分2度等の数量,度数で課税標準を表すものを従量税という。
→従量税・従価税
執筆者:村井 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
課税をするには、課税の対象となる物、行為、事実を規定することが必要になるが、これらを課税物件、租税客体、あるいは課税客体とよぶ。これらの課税物件を金額ないし数量表示したものが課税標準である。何が各税にとっての課税標準であるかは、個別租税法に明確に定められている。たとえば、所得税の課税標準は一定の方法により計算した所得金額であり(所得税法22条)、相続税の課税標準は相続または遺贈によって得た財産の価額の合計額であり(相続税法11条の2)、固定資産税の課税標準は、一定期日に固定資産台帳に登録された固定資産の価格で、この価格とは適正な時価であるとされている(地方税法341条・349条)。また、酒税の課税標準は、従量税の場合(大部分の酒類)は酒類の数量であり、従価税の場合(果実酒、ウイスキー、リキュール類などのうち従価税の非課税限度額を超えるもの)は酒類の価格である(酒税法22条)。これらの課税標準から各種控除をした額に税率を適用すると税額が算出される。
[林 正寿]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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