壁訴訟(読み)カベソショウ

デジタル大辞泉 「壁訴訟」の意味・読み・例文・類語

かべ‐そしょう【壁訴訟】

《「かべぞしょう」とも》
訴えかける相手もいないのに、不平をつぶやくこと。また、陰で苦情を言うこと。
「婆さんは…知らぬ人にも夫の―をする」〈鴎外
遠回しに当てこすること。聞こえよがしに言うこと。
「お鉄は折々母親に(晴着ガナイノデ姉ノ所ニ行ケナイト)―の愚痴こぼす」〈紅葉・二人女房〉

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精選版 日本国語大辞典 「壁訴訟」の意味・読み・例文・類語

かべ‐ぞしょう【壁訴訟】

〘名〙 (「かべそしょう」とも)
① 訴える相手がなく、ひとりでぶつぶつと苦情をいうこと。ぐちをいうこと。壁見参(かべげんざん)
※俳諧・毛吹草(1638)六「きりきりす秋を告るや壁訴訟(カベゾシャウ)〈作者不知〉」
間接のお願い。それとなく頼みこむこと。
浄瑠璃・曾我扇八景(1711頃)上「君へはおうらみ申されず。いひよいとて、祐経を小だてに取てかべぞせう」
③ 遠まわしにあてこすること。
※浄瑠璃・殩静胎内捃(1713)一「さもしや宗盛、我命たすからんとのついしゃう、梶原讒言のうはぬりしたるかべぞせう」

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