愚痴(読み)グチ

デジタル大辞泉 「愚痴」の意味・読み・例文・類語

ぐ‐ち【愚痴/愚×癡】

[名]言ってもしかたのないことを言って嘆くこと。「くどくど―を並べる」
[名・形動]《〈梵〉mohaの訳。痴・無明とも訳す》仏語三毒の一。心性が愚かで、一切の道理にくらいこと。心の迷い。また、そのさま。
「―な人々の異常に放縦ほうしょうな迷信的な崇敬を」〈中勘助・犬〉
[類語](世迷い言繰り言ぼやき泣き言恨み言不服不平不満不満足不足鬱憤うっぷん物足りないあっけないあえない飽き足りない食い足りない意に満たない期待外れ当て外れ不本意いら立ちいらつくいら立つ今一いまいち今一つもう一つ不完全燃焼フラストレーションクレーム鬱積うっせき不承知心外ぐずぐず難色難色を示す首を振る首を横に振る首をひねるかぶりを振る如何なものか口を尖らす

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精選版 日本国語大辞典 「愚痴」の意味・読み・例文・類語

ぐ‐ち【愚痴・愚癡】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] moha または mūḍha の訳語。痴とも訳する )
  2. ( 形動 ) 仏語。愚かで思い迷い、もの理非のわからないこと。また、そのさま。三毒煩悩の一つ。無明(むみょう)。愚痴心。
    1. [初出の実例]「我現在父母六親眷属愚癡邪見人三宝即破滅焼流、所奉之物反取滅也」(出典:醍醐寺本元興寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
    2. 「サア其離別は誰がわざ、私よりこなさん猶ぐちな。体があの世へつれ立か」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)橋尽し)
    3. [その他の文献]〔法華経‐譬喩品〕
  3. 言っても仕方のないことをくどくどと嘆くこと。言ってもかえらぬこと、益のないことを言うこと。泣き言。
    1. [初出の実例]「痴は愚痴とて、かへらざる事をくやみ叶はざる事をおもふ事也」(出典:仮名草子・小さかづき(1672)四)
    2. 「何ぢゃやらぐどぐどぐどぐどと、愚痴な事ばかりいはしゃるわいの」(出典:浄瑠璃・一谷嫩軍記(1751)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愚痴」の意味・わかりやすい解説

愚痴
ぐち

愚癡とも書く。愚かなこと。原語は一般にサンスクリット語のモーハmohaがあてられ、莫迦(ばか)(のちに馬鹿)の語源とされている。仏教用語では、真理に暗く、無知なこと。道理に暗くて適確な判断を下せず、迷い悩む心の働きをいう。根本煩悩である貪欲(とんよく)(むさぼり)と瞋恚(しんに)(怒り)に愚痴を加えた三つを三毒(さんどく)といって、人々の心を悩ます根源と考えた。また、心愚かにも、言ってもしかたのないことを言い立てることを、俗に「愚痴をこぼす」などと用いるようになった。

[石上善應]

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普及版 字通 「愚痴」の読み・字形・画数・意味

【愚痴】ぐち

おろか。

字通「愚」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「愚痴」の意味・わかりやすい解説

愚痴
ぐち
moha

仏教用語。愚かなこと。無知によって惑わされ,すべての事象に関してその真理をみない心の状態をいう。

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