戦債問題[第1次世界大戦](読み)せんさいもんだい[だいいちじせかいたいせん](英語表記)war debt problem of World War I

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

戦債問題[第1次世界大戦]
せんさいもんだい[だいいちじせかいたいせん]
war debt problem of World War I

第1次世界大戦の戦費および戦後復旧のため,ヨーロッパの連合国が外国,特にアメリカから借受けた債務返済問題。終戦から第2次世界大戦までの間,賠償問題とともに経済上の大きな国際問題となった。 1924年当時の連合国の純債務総額は約 210億ドルとなっており,その大部分イギリス,フランス,イタリア,ベルギーロシアの5ヵ国に集中していた。このうちアメリカに対する債務は 100億ドル余であり,その 70%は戦中,30%は戦後に融資された。 22年アメリカは返済条件を 60年年賦,利率3%と緩和したが,それでも返済すべき総額は 225億ドルに達することになり,連合国はアメリカの返済要請に難色を示した。それに賠償問題の難航世界恐慌の発生などの悪条件が重なるに及び,フーバー・モラトリアムなどの措置も効なく,債務の返済がほとんど行われないままに事実上問題は消滅した形となった。

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