文昌神(読み)ぶんしょうしん(英語表記)Wén chāng shén

改訂新版 世界大百科事典 「文昌神」の意味・わかりやすい解説

文昌神 (ぶんしょうしん)
Wén chāng shén

旧中国において,知識人のあいだで信仰された学問科挙の神。文昌帝君とも呼ばれた。文昌北斗七星の第4星の名で,文曲ともいう。北斗星は消災解厄,保命延生をつかさどるとして古くから信仰されてきたが,南宋時代になるととくに文昌は学問・科挙の神として学校にまつられるようになった。これとは別に,六朝のころから,晋の張悪子が戦死してまつられたといわれる梓潼神(しどうしん)信仰が行われ,宋代には福禄名籍をつかさどる神として,科挙の受験者に信仰された。このころから,文昌神と梓潼神が同一視されるようになり,元・明・清にわたって知識人の信仰を集めた。この信仰を背景に,文昌帝君の垂訓と称する《文昌帝君陰騭文(いんじつぶん)》(たんに《陰騭文》ともいう)が出現し,代表的な善書として,明・清時代に流行した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android