有機リン中毒/カーバメイト中毒(読み)ゆうきりんちゅうどくかーばめいとちゅうどく(英語表記)Organophosphate Poisoning / Carbamates Poisoning

家庭医学館 の解説

ゆうきりんちゅうどくかーばめいとちゅうどく【有機リン中毒/カーバメイト中毒 Organophosphate Poisoning / Carbamates Poisoning】

[どんな病気か]
 どちらも殺虫剤で、神経のはたらきを阻害して殺虫効果を現わします。農業用にも、家庭用の殺虫剤にも使用されています。
 有機リンを散布した牛舎(ぎゅうしゃ)に入れた牛32頭全部が中毒になり、14頭が死亡する事故が栃木県でありました。
 アメリカとカナダでは、カーバメイトを散布した畑のスイカを食べた人、合わせて1000人が中毒になるという事件がありました。
[症状]
 縮瞳(しゅくどう)(瞳孔(どうこう)が小さくなる)、よだれ、流涙(りゅうるい)、嘔吐(おうと)、下痢(げり)、頻脈(ひんみゃく)、不安、興奮(こうふん)、不眠、情緒不安定、言語不明瞭(げんごふめいりょう)などがおこります。
 意識の低下、昏睡(こんすい)、けいれんなどの重い症状になることもあります。
[治療]
 呼吸が止まることがあるので、酸素吸入などを行ないます。
 そのうえで、副交感神経のはたらきを正常にするアトロピンを注射します。
 有機リンの中毒で、あまり時間がたっていなければ、神経のはたらき全体を活発にするプラリドキシム(PAM)が点滴で用いられることもあります。カーバメイト中毒には、この薬は効果がありません。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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