デジタル大辞泉
「沖つ波」の意味・読み・例文・類語
おき‐つ‐なみ【沖つ波】
[名]沖に立つ波。
「―来寄する荒磯をしきたへの枕とまきて寝せる君かも」〈万・二二二〉
[枕]波の動く状態から「競ふ」「頻く」「高し」「立つ」「撓む」などにかかる。
「―撓む眉引き」〈万・四二二〇〉
「―たかしの浜の」〈古今・雑上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おきつ【沖つ】 波(なみ)
[一] 沖に立つ波。沖のほうから打ち寄せてくる波。沖つの波。⇔
辺(へ)つ波。
※
万葉(8C後)一一・二七三二「奥波
(おきつなみ)辺波(へなみ)の来寄る
佐太の浦のこの時
(さだ)過ぎて後恋ひむかも」
[二] 枕
① 沖に立つ波は、幾重にも重なって立つところから「重(し)く」に、たわみしなって立つところから「撓(とお)む」に、また、荒々しいところから「荒れ」にそれぞれかかる。
※万葉(8C後)一一・二五九六「慰もる心は無しにかくのみし恋ひやわたらむ月に日にけに 或本歌曰 奥津浪
(おきつなみ)しきてのみやも恋ひわたりなむ」
② 沖の波は高いので「高し」と同音の
地名「たかし」にかかる。
※古今(905‐914)雑上・九一五「おきつなみたかしのはまのはままつのなにこそ君をまちわたり
つれ〈
紀貫之〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報