白金城(読み)しろがねじょう

日本の城がわかる事典 「白金城」の解説

しろがねじょう【白金城】

東京都港区白金にあった城館。応永年間(1394~1427年)に南朝に仕えた雑色の柳下上総介が当地に屋敷を構え、白金長者と呼ばれる富豪になったとの伝承がある。しかし、柳下上総介やこの城館についての史料はなく、くわしいことはわからない。江戸時代に入り、この一帯は1664年(寛文4)に高松藩主の松平讃岐守に与えられ、抱屋敷がつくられた。1875年(明治8)には海軍火薬庫がつくられ、のちに陸軍の施設となった。城跡は現在、国立自然教育園や白金迎賓館の敷地になっている。自然教育園内には、室町時代の多くの土塁の遺構が残っており、奥の少し高くなった場所に館跡とされる平坦地がある。また、松平氏の屋敷とともにつくられた池や松も残っている。山手線の内側の城址で、遺構が残っているのは江戸城とこの城館の2つのみである。ただし、明治以降、軍の施設となった際にその土塁に手が加わった可能性は高く、すべての土塁がかつての城館の遺構とはいえない。JR山手線目黒駅から徒歩約5分。◇白金長者屋敷とも呼ばれる。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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