神殿奉献(読み)しんでんほうけん

改訂新版 世界大百科事典 「神殿奉献」の意味・わかりやすい解説

神殿奉献 (しんでんほうけん)

モーセの律法に従って,幼子イエスが生誕後40日目に両親に連れられエルサレム神殿に奉献される場面。《ルカによる福音書》2章22~39節に記される。この場面は〈マリアの潔めの式〉とも呼ばれ,イエバトのひな2羽が犠牲にささげられる。また,このとき神殿には聖霊の示しを受けているシメオンSimeonという名の老人がいたが,この幼子が主のつかわす救世主(メシア)であることを即座に理解し,イエスを腕に抱く。老預言者アンナもまた近寄ってきて幼子をたたえる。

 東方美術では,イエスとシメオンの出会いに焦点がおかれ,マリアまたはヨセフの手からイエスを抱きとらんとするシメオンの姿が描かれる(〈バシレイオス2世のメノロギオン〉(バチカン図書館,976-1025)など)。一方西方美術では,祭壇上で行われるイエスの奉献行為に強調が移され,場面も通常神殿内に設定される(A. ロレンツェッティ(1342)など)。聖燭節(マリアの潔めの祭り,マリアの光のミサ。2月2日)のろうそく行列のモティーフが加えられる例もある(ロホナー(1447)など)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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