ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ロレンツェッティ」の解説
ロレンツェッティ
Lorenzetti, Ambrogio
[没]1348頃
イタリア,シエナ出身の画家。 P.ロレンツェッティの弟。兄とともにシエナ派の祖ドゥッチオに学んだと思われ,また S.マルティーニの影響も認められる。さらに G.ピサーノやジョットの影響をも受けている。兄より才能に恵まれ,それらの諸影響をよく消化して,シエナ派の情緒的な伝統と,さらに優雅な画風を展開した。初期のサンタンジェロ聖堂 (ビコ・ラバーテ) の『玉座の聖母子』 (19) からウフィツィ美術館の『キリストの奉献』 (42) を経てシエナ絵画館の『聖母子』や『聖告』 (44) にいたる一連の祭壇画はそれをよく示している。彼の最も有名な代表作でシエナのパラッツォ・プブリコを飾る『善政と悪政』の比喩的大壁画 (38~40) では,空間構成と写実技法の進展をみせていた。 1348年にシエナを襲ったペストで兄ともども死んだと推定されている。
ロレンツェッティ
Lorenzetti, Pietro
[没]1348頃
イタリア,シエナ出身の画家。 A.ロレンツェッティの兄。シエナ派の祖ドゥッチオに学んだと思われるが,G.ピサーノらのゴシック的影響を強く受け,アッシジのサン・フランチェスコ聖堂の壁画『二聖者と聖母子』や『キリスト降架』などで,その激情表現を試みている。弟の影響とみられるウフィツィ美術館の『聖母子』 (1340) などは,同派の優雅な伝統を受継ぐ彼の代表作といえる。弟とともに 1348年にシエナを襲ったペストで死んだと推定されている。
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