調質圧延(読み)ちょうしつあつえん(英語表記)temper rolling

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「調質圧延」の意味・わかりやすい解説

調質圧延
ちょうしつあつえん
temper rolling

スキンパスおよび強度を調整するために行う圧延をいう。スキンパス圧延は冷間圧延後焼鈍した鋼板に適用されるもので,鋼板を引張り変形したときに現れる,変形の不均一による模様の防止を目的としている。この模様は,変形の初期に硬さがいったん低くなる降伏点現象によって生じる。したがって圧延によって硬さが最小に達する以上のひずみをあらかじめ与えるので,圧延で与える変形量は板厚の1~2%にとどまる。一方加工硬化を利用して硬さを調節するための調質圧延は,焼入れ硬化の不可能な非鉄金属オーステナイト系ステンレス鋼を対象に,20~30%程度までの圧下率で硬さを調節する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の調質圧延の言及

【圧延】より

…大量生産の場合には長大な材料を圧延することになるので,同時に動く一連のロールを順に通して連続圧延continuous rollingが行われる。 鋼板のうち厚さ3mm以下の薄板は,絞り加工で継目のない底付き容器にしたり,表面処理用鋼板とされるが,薄板製造は,ふつう圧延後に焼きなましをしてから,さらに調質圧延を行っている。調質圧延は,4段圧延機を用いる軽い圧延で,板の形状や表面性状の向上をはかることと,ストレッチャーストレーン(引張りしわ)を防止し,後の加工を容易にする。…

※「調質圧延」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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