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加工硬化 かこうこうかwork hardening

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

加工硬化
かこうこうか
work hardening

金属材料が加工変形によって次第に硬くなる現象。原因は理論的には,材質結晶中の転位が加工応力で運動すると同時に増殖して内部応力を蓄積し,数がふえた転位同士の交切などの相互作用で転位が動きにくくなり,結果として硬化が起るとされる (→結晶塑性 ) 。実際問題としては硬化とともに脆化が起るので,冷間加工の場合は注意を要する (→金属の塑性加工 ) 。加熱すれば転位の動きが促進されて結晶外や結晶粒界 (→多結晶組織 ) に逸出し,結晶内の転位数が減るので硬化は解消する (→回復 ) 。これがひずみとり焼鈍の原理である。合金の場合は異種原子の存在が転位の運動に影響するので,硬化の過程も複雑になる (→固溶体 , 時効硬化 ) 。

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百科事典マイペディアの解説

加工硬化【かこうこうか】

物体に塑性変形塑性加工)を与えると,変形の度合が増すにつれて変形に対する抵抗が増大し,変形を受けていない材料よりも硬くなる。これを加工硬化という。加工硬化を生じた金属は硬く強くなる反面,もろくなる。
→関連項目熱間加工

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世界大百科事典 第2版の解説

かこうこうか【加工硬化 work hardening】

物体に塑性変形を与えると,変形の度合が増すにつれて変形に対する抵抗が増大し,変形を受けていない材料よりも硬くなる。これを加工硬化,もしくはひずみ硬化という。塑性変形を支配する因子には材料中の転位の運動,双晶変形,すべり変形が挙げられるが,加工硬化には転位が大きく関与する。すなわち,塑性変形に伴い転位が増殖され,それが不均一な分布となり,互いにもつれ合うことで運動する転位に対する障害となり,それ以上の転位の運動が抑制されるために変形抵抗が増す。

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世界大百科事典内の加工硬化の言及

【塑性】より

… 降伏点をこえてさらに変形を続けると,一定の速さで変形を増加させるのに必要な力は,再び大きくなる。すなわち変形を起こさせることによって物質が硬くなるわけで,この現象は加工硬化と呼ばれる。いくつかの段階の硬化過程を経て,最後には破壊が起きるが,このように所要の形に変形をさせた後,その形がそのまま残るのは実用上非常に重要な性質であり,この固体の塑性を利用した加工法を塑性加工という。…

※「加工硬化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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