透し入り紙(読み)すかしいりがみ

百科事典マイペディア 「透し入り紙」の意味・わかりやすい解説

透し入り紙【すかしいりがみ】

紙を透かして見たとき模様が現れるように漉いた紙で,白透き黒透きの2つの技法がある。紙を漉く抄紙(しょうし)機の金網や網ロールの面に凸形の模様を取り付けると,この部分の紙層が薄くなって模様が白く現れる。これを白透きといい,反対に凹形の模様を取り付けると,へこんだ部分の紙層が厚くなって黒ずんで見え,紙層の薄い部分は白く見える立体感のある模様が現れる。これを黒透きという。白透きはかつて日本では公文書用の奉書紙障子紙,中国では詩箋に用いられる程度だったが,ヨーロッパでは製紙業者の商標としてすべての紙に透し模様が入れられ,多様に展開された。このほか日本の藩札をはじめとする各国紙幣に,偽造防止のために黒透きが用いられるようになった。現在日本では,紙幣,証券などの偽造を防止するため,民間で黒透きを漉くことが禁じられており,単に透し入りといえば,白透きを意味する。

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世界大百科事典(旧版)内の透し入り紙の言及

【和紙】より

…(5)漉合せ紙 まず地紙を漉いて,その上に木の葉,蝶などを置き,さらに別に漉いた薄紙を伏せ重ねて1枚としたもの。(6)透し入り紙 簀に型紙を付けた紗(しや)を貼って漉くと,紙の厚さに文様の凹凸が生じる。光にかざして見て,文様部分が薄くて白く透ける〈白透き〉と厚いために黒くなる〈黒透き〉の2種があるが,黒透きは紙幣の透し方法であるため民間で漉くことが禁じられている。…

※「透し入り紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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