奉書紙(読み)ホウショガミ

デジタル大辞泉 「奉書紙」の意味・読み・例文・類語

ほうしょ‐がみ【奉書紙】

奉書に用いたところから》コウゾ原料とする和紙しわがなく純白で上質。色奉書紋奉書などの変種もある。越前奉書有名

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「奉書紙」の意味・読み・例文・類語

ほうしょ‐がみ【奉書紙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 奉書に用いたところから ) 楮(こうぞ)を原料とする厚手、純白の高級紙室町時代から各地で漉(す)かれ、主に儀式用に用いられた。現在では機械漉きのパルプ製のものが多く、手漉きでは福井県越前奉書だけが残っている。ほうしょう。ほうしょ。
    1. [初出の実例]「小しきなる奉書紙をふたつに切てつぎしに、かきしものは」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)中)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「奉書紙」の意味・わかりやすい解説

奉書紙 (ほうしょがみ)

中世に始まり,とくに近世になって最高級の公文書用紙として盛んに漉(す)かれた楮紙(こうぞがみ)。公文書の形式に,将軍など上位の者の命令を,直接その名前を出さずに,下位の者が仰せを奉って書く〈奉書〉という間接的な方法があった。その奉書を記した上等な楮紙をも,しだいに奉書と呼ぶようになった。江戸時代に各藩の御用漉きなどを中心として,数多くの産地で奉書紙を漉き出したが,そのなかで日本一といわれるほど高い評価を得たのは,越前の5ヵ村から漉き出された越前奉書であった。奉書には大きさで大中小,あるいは大広,中広などの違い,装飾方法によって五色奉書,縮緬(ちりめん)奉書,打曇(うちぐもり)奉書,墨流(すみながし)奉書,絵奉書など多くの種類があった。明治時代以後,木版の浮世絵版画用紙など,新しい用途を開拓して,今もなお福井県越前市の旧今立町に伝統的製法が伝えられている。
越前紙
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「奉書紙」の意味・わかりやすい解説

奉書紙【ほうしょがみ】

コウゾを原料とし,米粉または白土を加えて手すきした和紙奉書に用いられたのでこの名がある。純白で,厚く,柔らかく,優美。着色した色奉書紙もある。福井県産が有名。用途は礼式文書,目録,儀式の包飾,神符,木版画などの用紙。化学パルプを原料とした機械ずきのものもあるが,品質は劣る。→越前奉書今立[町]
→関連項目伊予柾紙透し入り紙杉原紙

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「奉書紙」の解説

奉書紙
ほうしょがみ

奉書とも。楮(こうぞ)を原料にした和紙の一種。越前国今立郡大滝郷(近世の五箇)で生産された,紙質がきめ細かでつややかな強い楮紙(ちょし)。奉書とはもともと御教書(みぎょうしょ)・下知(げち)状など上意を奉じて下す命令書のことで,幕府がこの紙を公文書(奉書)として用いたことからこの名がついた。越前奉書が有名だが,やがて技術が伝播し他国でも類似の楮紙が作られ,それらも奉書紙とよばれた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android