化学辞典 第2版 「ζ電位」の解説
ζ電位
ゼータデンイ
ζ potential
固相と液相とが相対運動をする場合,固相に密着して動く層の最外面,すなわち,すべり面における電位と溶液内部の電位との差をζ電位とよぶ.これは固相が運動しているとき観測される電位なので,界面動電位(electrokinetic potential)ともよばれる.ζ電位は,元来,コロイド化学の領域で特性値として測定されてきた量で,電位を決めているのが,すべり面の電極からの距離という動的に測定しにくい量なので,電気二重層構造との直接的関連は得られにくい.すべり面の電極からの距離は数 nm 程度と考えられている.ζ電位の測定には,毛管中の溶液の電気浸透速度の測定,あるいはその逆の現象である流動電位の測定,電場により加速された溶液内粒子の泳動速度(電気泳動)の顕微鏡による測定,およびU字管にコロイドを入れ,電気泳動後のコロイド境界の変化を測定する,いわゆる動境界面法などが用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報