流動電位(読み)リュウドウデンイ

デジタル大辞泉 「流動電位」の意味・読み・例文・類語

りゅうどう‐でんい〔リウドウデンヰ〕【流動電位】

固体面に接する流体が動くとき、面に沿って生じる電位差ガラス毛細管の中に水を流すと、管の両端電位差が生じる。界面動電現象一つ

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化学辞典 第2版 「流動電位」の解説

流動電位
リュウドウデンイ
streaming potential, flow potential

固体面に接触する液体流動させるとき,界面にそって生じる電位差をいう.ガラス毛管中に電解質溶液を入れ,これに圧力をかけて溶液を流動させるときに管の両端に電位差が現れる.また,ガラス管の中央部に素焼の陶器板,ガラスフィルター板,あるいは繊維を固めた層を詰め,この層を通して電解質溶液を流すときにも層の両側に電位差を生じる.これらの層は毛管の集合体と同様の作用をするものと考えられる.この現象は,固体面と溶液との界面に生じる電気二重層の固定イオン層に対して流動層対イオンが溶液の流動とともに動き,電荷が移動することによるものと考えられる.このとき生じる電位差Eは,圧力をp媒質誘電率をε,溶液の粘性率をη,溶液の比電気伝導率をκとすると

Epεζ/4πηκ

で与えられる.ここで,ζは界面動電位で,Epの値から求められる.[別用語参照]界面動電現象

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「流動電位」の意味・わかりやすい解説

流動電位 (りゅうどうでんい)
streaming potential

液体に水圧をかけて毛細管内を流すとき,毛細管の両端に生ずる電位差。これは毛細管と液体の界面に電気二重層を生じ,たとえば毛細管側が負,液体が正に帯電している場合には,流動が起これば,液体の正電荷が流れの方向に運ばれ,電流が流れる。したがって管の両端に電位差を生じたことになる。流動電位は電気浸透の逆現象であり,誘起電圧の方向も液流に対し電気浸透の場合と逆になる。流動電位の測定からζ-電位の値が比較的高精度で求められ,界面における電荷分布を知るための重要な手がかりを与える。
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世界大百科事典(旧版)内の流動電位の言及

【界面電気現象】より

…また隔膜などの多孔質膜を通して液を流動させると,膜の両面に電位差を生ずる。この電位差を流動電位と呼ぶ。さらにコロイド粒子を重力によって沈降させたり,遠心力によって強制沈降させるときに液の上下に生ずる電位差を沈降電位(またはドルン効果)と呼ぶ。…

※「流動電位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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