コロイド化学(読み)ころいどかがく(英語表記)colloid chemistry

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロイド化学」の意味・わかりやすい解説

コロイド化学
ころいどかがく
colloid chemistry

コロイド状態にある物質について、化学的・物理的性質を研究する化学の一分野。自然界に存在するもののなかにも、また身辺の日用必需品のなかにもコロイド状態にあるものは数多い。たとえば鉱物宝石、食品、合成高分子などがそうである。したがって、物理学や医学、生物学、薬学、地質鉱物学、農学などとも深く関連をもっているが、物理化学のなかでの特定の一分野としての独立の性格をもっている。コロイドは古くは膠質(こうしつ)といったので、膠質学あるいは膠質化学とよばれたこともあった。イギリスのT・グレアムが創始したもので、生体物質や高分子などの領域における発展が目覚ましく、時代の脚光を浴びるようになった。コロイドの化学的な性質は、粒子の大きさのみならず、粒子の表面(界面)にも大きく影響を受けるので、界面化学とは密接な関係にある。

山崎 昶]

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