アウストラシア(英語表記)Austrasia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アウストラシア」の意味・わかりやすい解説

アウストラシア
Austrasia

メロビング朝時代のフランク王国の一分国。西のネウストリア,南東部のブルグンドと区別するため用いられた用語。現在のフランス北東部およびドイツ西部,中部の地方を含み,その宮宰は,のちのカロリング朝の祖となった。7世紀初め頃に一時他の分国を糾合して統一王国が形成されたが,632年ダゴベルト1世が息子ジゲベルト3世をアウストラシアの分国王に封じて以来,国都をメッツに定め,固有の宮宰をもつにいたった。カロリング家のアウストラシア宮宰ピピン (中ピピン) がネウストリアを 687年に破ったことから,他の分国に対するアウストラシアの覇権が確立し,ピピンの庶子カルル・マルテルはアウストラシア,ネウストリア,ブルグンドの宮宰となった。その子ピピン (小ピピン) はメロビング朝最後の王を廃して,みずから全フランクの王となり,カロリング朝を創始した。

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