日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカタマガシラ」の意味・わかりやすい解説
アカタマガシラ
あかたまがしら / 赤玉頭
rosy dwarf monocle bream
[学] Parascolopsis eriomma
硬骨魚綱スズキ目イトヨリダイ科に属する海水魚。千葉県以南の太平洋岸、屋久島(やくしま)、南西諸島、台湾、フィリピン諸島、インドネシア諸島の海域からインド洋にかけて広く分布する。体は楕円(だえん)形で、やや側扁(そくへん)する。上下両顎(りょうがく)には1列の円錐歯(えんすいし)があるが、犬歯がない。眼下部に弱い小棘(しょうきょく)があるが、大きな1棘がない。鰓耙(さいは)は長くて、全数は16~18本。両眼間隔域の鱗(うろこ)は両眼の中央部を越えない。頬(ほお)の横列鱗(おうれつりん)数は4枚以上。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)に鱗がない。臀(しり)びれの第2棘は第3棘より長くて強い。最大体長は約30センチメートル。体は淡赤色で、体側中央部に1条の幅広い黄色縦帯がある。側線の始部に暗赤色斑(はん)がある。水深25~180メートルの沿岸の砂泥底に生息する。おもに底生の無脊椎(むせきつい)動物を食べる。釣り、底引網などで混獲される。汁物、刺身、煮魚、フライなどにする。日本から知られている近縁種のキスジタマガシラには前鰓蓋骨に鱗があること、タマガシラの鰓耙は9~10本であることなどで本種と区別できる。
[尼岡邦夫 2018年1月19日]