大学事典 「アカデミック・ドレス」の解説
アカデミック・ドレス
学位授与式や入学登録式など,大学の式典や祝祭行事の際に着用される衣服。通常,ガウン(ローブ),フード,学帽の3点から成る。今日,イギリスではおもに学位授与式(イギリス)の際に着用されるのが一般的だが,かつては日常的に用いられた。オックスフォードやケンブリッジ(オックスブリッジ(イギリス))では,現在でも授業や試験や共同正餐(フォーマル・ディナー)の際などにはガウンが着用されている。アカデミック・ドレスのデザインやカラーは各大学により,保持する学位の種類や大学での役職や身分・地位ごとに細かく規定されている。オックスブリッジでは学位保持者だけでなく学士課程に学ぶ学生用にも奨学生(イギリス)(スカラー(イギリス))と自費生(イギリス)(コモナー(イギリス))のガウンがある。アカデミック・ドレスを着用する際に下に着る服装についても,かつては「subfasc」(男性の場合にはダークスーツと黒の靴下,黒の靴,白のシャツとカラー,白のボウタイ)が厳密に要求されていた。アカデミック・ドレスは中世の僧服に由来し,大学人の身分・地位を表象するものであった。
著者: 安原義仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報