学生がかぶる帽子。『郵便報知新聞』(明治18年3月10日付)に「(東京大学の前身である大学予備門では)今度学生有志者申合せ,欧洲諸大学にて用ゆる大学帽の形を折衷し一定の帽子を製して之を用ゐ」とあり,日本ではこの頃から学帽が使用されるようになったようである。上部が丸いものと四角のものがあり,それぞれ丸帽,角帽と言われている。丸帽は旧制高校の生徒をはじめ初等・中等学校で用いられた。大学生の場合はもっぱら角帽(日本)で,帝国大学だけでなく,官立・私立の諸大学でも着用された。角帽という言葉で大学生を意味することもある。淵源をたどると,カトリック聖職者のビレッタ(ラテン語でbiretum)という帽子に由来するとされている。それが大学でも用いられるようになり,西欧の大学ではガウンとともにアカデミック・ドレスとして着用されるようになった。卒業式(学位授与式)など儀式の際にかぶる帽子は「mortarboard」と呼ばれてきたが,これは壁塗り職人が作業するときの「モルタルを載せる台」と似ているところから来ているとされる。trencher cap(四角い料理皿の格好をした帽子)とも言われる。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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