アカボウモドキ(その他表記)Mesoplodon mirus; True's beaked whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカボウモドキ」の意味・わかりやすい解説

アカボウモドキ
Mesoplodon mirus; True's beaked whale

クジラ目ハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属。体長約 5m,体重約 1.4tに達すると考えられる。出生体長は推定2~2.5m。体色は背部が黒色で,腹部にかけて徐々に灰色となる。腹部下面に黄色,紫,桃色がかった小斑点を有するものや,腹中線が黒みを帯びるもの,また臍 (へそ) や生殖孔付近にはけではいたような白色模様を呈するものなどがいる。体型は紡錘形。噴気孔は1個で頭部正中線上にあり,噴気孔の前部はほとんど盛上がらない。嘴 (くちばし) が細長く突出し,頭部は小さく丸い。咽喉部にハの字状の溝がある。背鰭 (せびれ) は小さく,体の後方4分の3に位置し,三角形状で,先端はとがり後縁はやや湾曲している。尾鰭は左右に大きく広がり,尾柄部の上下にあるキール (稜状の隆起) は,尾鰭の中ほどまでいたる。下顎骨の先端に1対の歯がある。イカ類を捕食すると考えられる。本種は漂着によってのみ知られており,北大西洋ではイギリスおよびカナダのノバスコシアからアメリカのフロリダにかけて,インド洋ではアフリカ南東部,オーストラリア南部に限って漂着例が確認されている。

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