日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロリダ」の意味・わかりやすい解説
フロリダ
ふろりだ
Florida
アメリカ合衆国南東端の州。面積15万1670平方キロメートル、人口1598万2378(2000)。低平なフロリダ半島に位置し、北はジョージア州とアラバマ州に接し、東は大西洋に、西はメキシコ湾に面し、南はフロリダ海峡を挟んでキューバと相対する。州都タラハシー。フロリダ半島の北部は石灰岩からなり、カルスト地形が多い。地下水面が高いため、カルスト地形の洞窟(どうくつ)やポノール(吸込み穴)には水が入り込み、ポノールは小さな湖になる。半島中央部にはこのような湖が多いため、「レーク・ディストリクト(湖地区)」とよばれる。南部にはエバーグレーズやビッグ・サイプレスの湿地帯が広がり、東部では大陸に並行して沖合いに砂州や小島が連なる。また、半島の南西に点々と続くフロリダ・キーズ諸島は隆起したサンゴ礁である。気候は亜熱帯性で、マイアミの年降水量は1478ミリメートル、1月の平均気温は19.5℃、7月の平均気温は28.0℃である。
年中温暖な気候と陽光のために保養・観光客が多く、レクリエーション・観光業はフロリダ州経済の中心部門である。半島東岸の保養地はニューヨーク、フィラデルフィア、ボストンなどの合衆国北東部からの保養・観光客が多いが、半島西岸には中西部からの保養・観光客が多い。フロリダのよさを感じた人々のなかには退職後フロリダに移住する人々があり、フロリダ州の50歳以上人口のうち、フロリダ州生まれはわずか5分の1にすぎない。フロリダの人口増加は著しく、1980~2000年の人口増加数は624万2386人であった。フロリダ州に多額の農業収入をもたらしているオレンジやグレープフルーツなどの柑橘(かんきつ)類の栽培は、半島中央部の「湖地区」の周辺に集中している。また、遠郊型園芸農業として、冬季の野菜栽培が盛んである。キューバからの砂糖輸入が禁止された1960年代からは、オキチョビー湖の南でサトウキビ栽培が拡大した。半島中央部と南部では肉牛の飼育も行われる。工業も最近発展し、食品加工、化学、製紙、木工・家具、電気器具、自動車部品製造などがある。
セミノール・インディアンが先住者であったが、1513年スペイン人ポンセ・デ・レオンが探検し、65年スペイン人集落セント・オーガスティンが建設された。以後、1763~83年のイギリス領有を除き、スペインが領有した。1819年500万ドルでアメリカが購入、45年に27番目の州として連邦に加盟した。現州憲法は1885年の採択。
[菅野峰明]