日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトン中毒」の意味・わかりやすい解説 アセトン中毒あせとんちゅうどく 有機溶剤中毒の一つ。アセトンは代表的な低沸点溶剤で、揮発性が高いために高濃度の蒸気を吸入して急性中毒をおこす危険がある。おもに、ワニス(ペンキ)やラッカーの製造、塗料洗浄、写真フィルムの製造などの作業現場でみられる。気中濃度200~300ppmで特異な強い臭気を感じ、500ppmを超えると目、鼻、のどに刺激を受ける。1000ppm以上では頭痛、吐き気がおこり、さらに高濃度になると麻酔作用がみられる。また、皮膚に反復付着するような状態が続くと、脱脂作用のため皮膚の角化、炎症などをおこす。なお、労働衛生上の許容濃度は200ppmである。[重田定義] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例