ラッカー(読み)らっかー(英語表記)lacquer

翻訳|lacquer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッカー」の意味・わかりやすい解説

ラッカー
らっかー
lacquer

古くはニトロセルロース(硝化綿)を天然樹脂系統のものとともに揮発性の溶剤に溶かしたもので、速乾性で不粘着、強固、耐水・耐油性に富んだ美しい塗膜を形成する。木材金属皮革などの塗装に使われていた。セルロース塗料ともいう。このものは揮発成分が多いので、厚塗りは何回も塗り重ねを必要とする欠点がある。最近ではニトロセルロースに樹脂として天然樹脂、加工樹脂(エステルガムなど)、合成樹脂アルキド樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂アクリル樹脂など)と可塑剤軟化剤ひまし油など)を加え、それに揮発性溶剤(シンナーなど)を加え、かつ顔料を添加しないので透明な塗膜を与えるものが多い。これをクリヤラッカーとよんでいる。ニトロセルロースのかわりにアセチルセルロース、アセチルブチルセルロースなどを用いることもある。

垣内 弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラッカー」の意味・わかりやすい解説

ラッカー
lacquer

古くは漆のこと。ニトロセルロースを主成分とする揮発性塗料をさす。慣用的に揮発性塗料の総称として用いられることもある。一般に塗膜の付着力や弾性を増強するために,樹脂 (天然樹脂,ロジンエステル類,合成樹脂) や可塑剤 (ゲル化剤,軟化剤) を加えたものが多い。熱可塑性のアクリル樹脂を主体としたアクリルラッカー塩化ビニル,酢酸化ビニル共重合体を主体とするビニルラッカーなどがある。また,特に顔料を加えないものをクリアラッカーと呼ぶ。木材,金属,皮革などの塗装に広く利用される。

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