化学辞典 第2版 「アトロプ異性」の解説
アトロプ異性
アトロプイセイ
atropisomerism
単結合の回転が束縛されることによって生じる立体異性体が安定に単離できる現象.それぞれの立体異性体をアトロプ異性体という.たとえば,オルト位にかさ高い置換基をもつビフェニル誘導体(図(a))では,二つのベンゼン環が共平面構造をとれないためにキラルとなり,しかも二つのベンゼン環をつなぐ結合のまわりで回転することができないため,光学分割することができ,2種類の立体異性体(一対の鏡像異性体)が安定に単離される.またトリプチセン誘導体(図(b))では,太線で示した結合の回転が束縛されており,3種類の立体異性体が安定に単離されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報