大学事典 の解説
アドミッションズ・オフィス
入学オフィスとも。教授会等による入学者判定向けの事務処理に専念する部局とは区別され,入学判定自体を独自に主導するオフィス。学力本位に対抗し,志願者の人物に注目して判定する場と特徴付けられることが多い。しかし,アメリカ合衆国では,標準テストや高校成績の重視を前提として,大学固有の教学方針と志願者の特性との整合性,互いに有意義な4年間を過ごせるバランスのとれた仲間集団(クラス)の構築,自校の世評を将来とも維持・向上させる人材の確保等を慎重かつ現実的に判断する部局を指す。通常,学部長と同じ呼称の部局長と,数名から十数名の局員(中程度の成績の卒業生が最適とされる)から構成される。しかし,上記のような使命を全うするアドミッションズ・オフィスは,実際には少数のエリート大学に限られる。中堅以下の大学でのオフィスの主要な任務は,志願者の標準テストの点数や高校の成績と,各大学の基準点との照合と確認に尽きる。アドミッションズ・オフィスの十全な活用は,アメリカ国内の多くの大学にさえ困難であり,異なった教育・文化伝統の国には至難というべきである。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報