日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラビア砂漠」の意味・わかりやすい解説
アラビア砂漠
あらびあさばく
アラビア半島のほぼ全域と、イランのザーグロス山脈の西麓(せいろく)からイラク、ヨルダン、イスラエルを経てシリアの南部にかけて広がる砂漠。面積246万平方キロメートル。大規模な砂漠のため、地域により自然条件は多様である。アラビア半島の東半分からイラク、シリアにかけての最暖月の平均気温は30℃を超え、イスラエルからイエメンにかけては25~29℃である。最寒月の平均気温は北部で7℃程度、南のオマーンの海岸付近で20℃程度である。アラビア半島の地形は南西部のアシール山地、イエメン山地とオマーン東端のアハダル山脈以外は、北東に緩やかに傾斜する標高1000~100メートルの高原である。この高原の南部には世界最大規模のルブ・アル・ハーリー砂漠が、北部にはナフード砂漠が発達しており、この二つの砂砂漠をつなぐように東寄りにダハナー砂漠(砂砂漠)が発達している。なお、アラビア砂漠の北端部はシリア砂漠とよばれている。イラクの中央部は沈降地帯であり、ティグリス川、ユーフラテス川が低平な沖積平野を形成している。アラビア砂漠は世界有数の石油埋蔵・産油地域であり、世界の経済・政治に大きな影響を与えている。
[赤木祥彦]