日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリルーエワ」の意味・わかりやすい解説
アリルーエワ
ありるーえわ
Светлана Иосифовна Аллилуева/Svetlana Iosifovna Alliluyeva
(1926―2011)
ソ連の独裁的権力者スターリンの娘。母親はスターリンの二度目の妻ナジェージダ・アリルーエワNadezhda Alliluyeva(1901―1932)。初めユダヤ人学生と、ついでスターリンの側近であるジダーノフAndrey Aleksandrovich Zhdanov(1896―1948)の息子と結婚するが、いずれも離婚。1966年末モスクワで死去した恋人のインド人外交官の遺骨を持ってインドに行き、翌1967年春、共産主義に疑問を感じたとしてアメリカに亡命、世界に衝撃を与えた。彼女の回想録『友への20の手紙』(1967年。邦訳名『スベトラーナ回想録』)は、自殺した母の思い出、父の素顔、クレムリンの生活などを語って、スターリン周辺の内幕を知るうえでの貴重な資料を提供している。
[中本信幸]
『江川卓訳『スベトラーナ回想録――父スターリンの国を逃れて』(1967・新潮社)』