大学事典 「アル=アズハル大学」の解説
アル=アズハル大学[エジプト]
アル=アズハルだいがく
エジプトのカイロに,アズハル・モスクおよび教導組織,中等教育,大学,法学委員会,出版局などからなる複合的な学術・教育組織であるアル=アズハル(エジプト)がある。アル=アズハル大学はアル=アズハル内の高等教育機関である。教育機関としてのアル=アズハルの起源は,970年にカイロに建設され,978年に教育活動を開始したアズハル・モスクにある。同モスクはシーア派によって建設されたが,王朝の交代とともに12世紀後半からスンナ派の養成機関として発展した。1961年にイスラーム法学部,イスラーム神学部,アラビア語学部といったイスラームの伝統的な3学部に加えて,医学部,理学部,工学部,女子学部などが設置され,近代教育機関としての国立総合大学であるアル=アズハル大学が成立した。エジプトで最も規模の大きい大学で,教職員数は約8900人で,学生数約26万9000人のうち,10万人が女性である(2011年)。イスラーム世界における宗教教育の中心的機関として世界各地から多数の留学生を受け入れ,イスラームの指導者も多数輩出している。
著者: 谷口利律
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報