アズハル・モスク(読み)あずはるもすく(英語表記)Al-Azhar Mosque

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アズハル・モスク」の意味・わかりやすい解説

アズハル・モスク
Jāmi'at al-Azhar; al-Azhar University

エジプトカイロにあるイスラム教モスクおよび大学。970年創設。ファーティマ朝がエジプトを征服した翌年に建設が始まり,972年に完成した。最初はシーア派のモスクであったが,アイユーブ朝の成立によってスンニー派のモスクとなり,またこの頃から教育,研究機関としての機能も備えるようになった。おもな教育科目は神学法学,伝承学,言語学,修辞学であったが,19世紀後半からムハンマドアブドゥフらによって近代的な改革が施された。1961年に拡張,再編成が行なわれ,今日でもイスラム研究の中心的な存在であり,世界各地から数多くのイスラム教徒が集まり信仰と勉学の生活を送っている。イスラム神学イスラム法,アラビア研究,工学,医学,商学農学,言語などの学部に加え,イスラム女子カレッジを有する。中庭をめぐるアーケードは 12世紀の再建で,全体的に 19世紀にいたるまでたびたび増改築されている。スタッコによる装飾,柱頭,四芯アーチなどにイブン・トゥールーン・モスクの影響がみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アズハル・モスク」の意味・わかりやすい解説

アズハル・モスク
あずはるもすく
Al-Azhar Mosque

エジプトの首都カイロにあるイスラム寺院創立は970年で、併設されたマドラサ(モスク付属の学校)が、のちにイスラム世界の教学の中心となり今日のアズハル大学にまで発展した。一部の学生は現在もモスク内の学寮に起居して学んでいる。当初の建物は中央のミヒラーブ(メッカの方向を示す壁面のくぼみ)のあたりに残っているだけで、あとの大部分は14~16世紀マムルーク朝時代の増改築によるものである。5本の壮麗なミナレット(塔)がそびえ、堂内には375本の石柱が林立し、祈る人たちの姿が絶えない。この寺院のあるカイロは1979年世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[紅山雪夫]

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