改訂新版 世界大百科事典 「アルカエオプテリス」の意味・わかりやすい解説
アルカエオプテリス
Archaeopteris
約3億6000万年前のデボン紀後期に特有の原裸子植物の化石。アメリカのニューヨーク州,ペンシルベニア州,カナダ東部,イギリス,アイルランド,ベルギー,ドイツなどから産出が報告されている。葉はシダ状の2回羽状複葉,小羽片は放射状の脈を示し,胞子が同じ大きさの同型胞子,または胞子に大小の差のある異型胞子をもちシダ類と考えられていた。他方,カリキシロンCallixylonという直径1m以上もある樹幹がニューヨーク州東部から知られ,材構造が針葉樹に似ているので針葉樹類と思われていた。ところがアルカエオプテリスがカリキシロンの枝についた化石が発見され,両者が同一の植物であることが判明した。葉はシダ状,茎は針葉樹状というこの異様な植物は原裸子植物類progymnospermsとして,次の石炭紀に栄えたシダ種子類や針葉樹類の共通の祖先系の植物と考えられている。しかしこの考え方には疑問をもつ人もいる。
執筆者:浅間 一男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報