改訂新版 世界大百科事典 「アルストロエメリア」の意味・わかりやすい解説
アルストロエメリア
Alstroemeria
肉質塊状の根を有するヒガンバナ科ユリズイセン属の植物。花壇,切花用に広く栽植される。属名は植物学者リンネの友人名による。チリ,ブラジルなど南アメリカに約60種があり,肥大した根からはデンプンが採られて食用とされることがある。普通,春植えで開花は6~7月。一見ヒメユリなどに似た形で,草丈は30~80cm。群がってつく花の花被片には種々の濃い斑紋があり,また切花にして花もちがよく,品種改良も進んでいる。おもな種としては,キバナユリズイセンA.aurantiaca D.Don(橙花,黄花,草丈90cm,耐寒種),ユリズイセンA.pulchella Linn.f.(濃赤花,草丈60cm,強健種),アルストロエメリア・ペレグリナA.pelegrina L.(大輪で桃色花,草丈30cm,半耐寒種)などがあり,その他にも多くの交配種や,選抜の名称のついたものが市販されている。繁殖は種子を春にまくと翌年に開花し,後2年ほど株をそのままにしておくと多く咲く。また早春に株分けをして3芽株くらいを30cm平方に植えるとよい。排水のよい砂質壌土を好み,湿気に弱く,白絹病に注意する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報