改訂新版 世界大百科事典 「アルタイ族」の意味・わかりやすい解説
アルタイ族 (アルタイぞく)
Altaitsy
ロシア連邦の西シベリア南部,アルタイ地方のチュルク系諸族を十月革命後に統合して成立した民族集団。人口6万9400(1989)。トナカイ飼育と狩猟・採集を生業とするトゥバラル,チェルカン,クマンジンなど北グループと,馬・牛・羊の飼育と農耕に従事するアルタイ・キジ,テレンギトなどの南グループよりなる。17世紀以降ロシア人との接触が強まり,その激しい布教活動の結果ロシア正教徒となったが,伝統的なシャマニズムの影響も根強く残っている。かつて北グループは森林のタタールと呼ばれた。また南グループはモンゴル系のオイラート(モンゴル語やアルタイ語ではオイロート),カルムイクの支配下にあったためカルムイクともオイロートとも呼ばれ,1922-48年の間は行政区画がオイロート自治州と称されたが,48年以降ゴルノ・アルタイ自治州(1990年代初めからアルタイ共和国。2002年の人口20万3000,首都ゴルノ・アルタイスクの人口5万3500)と称される。日露戦争中の1904-05年には,ブルハン(オイロート・ハンともオイロート・ヤポンとも呼ばれた)がアルタイ族をロシア支配から救済すると説く土着主義的新興宗教である〈ブルハニズム〉が起こっている。
執筆者:井上 紘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報