化学辞典 第2版 「アルミニウムの電解精製」の解説
アルミニウムの電解精製
アルミニウムノデンカイセイセイ
electrolytic refining of aluminium
一般のアルミニウム電解で得られるアルミニウム地金の純度は99.6~99.95% である.99.999% というように高純度のアルミニウムは,工業的にはアルミニウム電解精製法によっている.原理は電解浴としてアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩化物またはフッ化物にアルミニウムイオンを含んだものを用い,陽極には30% 程度の銅を含む溶融Al-Cu合金,陰極には高純度の溶融アルミニウムを用いる.陽極,電解浴,陰極は比重の差により,下方から順に並ぶのでアルミニウムの3層電解ともいう.陽極では用いた電解浴に対しアルミニウムより電気化学的に貴な元素は溶解せず,卑な元素のみ電解浴中に溶け込み,陰極ではアルミニウムより貴な元素のみ析出し,卑な元素は析出しない.たとえば,マグネシウムは陽極からは電解浴中に溶け出すが,陰極へは析出しない.このようにアルミニウムを中心として,陽極,陰極の両極で二段に精製を行うことができる特長を有している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報