日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アレクサンドリンスキー劇場
あれくさんどりんすきーげきじょう
Александринский театр/Aleksandrinskiy teatr
ロシアの国立劇場。サンクト・ペテルブルグ市の中心街ネフスキー通りにある。1756年に創立されたロシア最古のドラマ劇場の一つで、1832年ニコライ1世の妃アレクサンドラ・フョードロブナにちなんで帝室劇場「アレクサンドリンスキー劇場」の名をもらい、今日までの略称「アレクサンドリンカ」という呼び名で親しまれている。1937年プーシキンの死後100年を記念してプーシキン劇場となった。建築家ロッシの設計になる美しい建物は観光の名所になっている。ボルコフ、ヤコブレフ、カラトゥイギン、マルティノフ、コミサルジェフスカヤ、トルベーエフ、チェルカーソフらの名優が舞台に立ち、グリボエードフ作『知恵の悲しみ』(1831)、ゴーゴリ作『検察官』(1836)や、オストロフスキー、ツルゲーネフ、ルナチャルスキー、コルネイチュークらロシア・ソビエト演劇の数多くの名作が上演された。1991年にふたたび「アレクサンドリンスキー劇場」に改称したが、一般に、いまも「プーシキン劇場」ともよばれている。なお、この劇場を含むサンクト・ペテルブルグ歴史地区は1990年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[中本信幸]