かもめ(英語表記)Чайка/Chayka

日本大百科全書(ニッポニカ)「かもめ」の解説

かもめ
Чайка/Chayka

ロシアの作家チェーホフの四幕戯曲。1896年発表。同年アレクサンドル劇場で初演されたが、演出家が戯曲の本質を理解せず、無残な失敗に終わった。1898年にモスクワ芸術座上演、大成功した。ソーリン家の息子で演劇を志すトレープレフは、自分の生活している別荘へ、有名な女優である母アルカージナと、その愛人の流行作家トリゴーリンを迎え、自らの恋人ニーナを主役に前衛劇を見せるが、母親たちに冷笑され、失望する。トリゴーリンはトレープレフの射殺したかもめを見て、かもめのように身を滅ぼす娘の物語を思い付き、ニーナを誘惑する。数年後、すでに作家になったトレープレフを不意にニーナが訪ねてくる。彼女はトリゴーリンに棄(す)てられ、俳優としても失敗したが、再出発を決意して戻ってきたのだ。彼女の新しい姿を見てトレープレフは、自己の才能に対する絶望と、自己の道を知らぬ悲しみから自殺する。

[原 卓也]

『中村白葉訳『かもめ』(角川文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「かもめ」の解説

かもめ
Chaika

ロシアの作家 A.チェーホフの四大戯曲の一つ。4幕。 1896年発表。作家志望のトレープレフは,気まぐれな女優の母とその情人である著名な作家トリゴーリンの前で,恋人ニーナが主演する自作の劇を上演するが,母たちの嘲笑にあって自殺をはかり,ニーナは女優への道に憧れトリゴーリンのあとを追い家出する。2年後,新進作家になったトレープレフの前に,トリゴーリンに捨てられ田舎回りの女優になったニーナが現れるが,彼女の愛は戻らず,トレープレフはピストル自殺をとげる。 96年のアレクサンドリンスキー劇場における初演は失敗だったが,98年,K.スタニスラフスキー,V.ネミロビッチ=ダンチェンコらのモスクワ芸術座の上演によって,初日から驚異的な成功を収め,以来,チェーホフと同座との関係は切っても切れないものとなった。モスクワ芸術座のシンボルマーク「かもめ」は,この『かもめ』からとったもの。日本では 1922年初演。

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