アレシボ電波観測所(読み)あれしぼでんぱかんそくじょ(英語表記)Arecibo Radio Observatory

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレシボ電波観測所」の意味・わかりやすい解説

アレシボ電波観測所
あれしぼでんぱかんそくじょ
Arecibo Radio Observatory

西インド諸島プエルト・リコのアレシボにある電波天文学、電離層研究のための観測所。カルスト台地にできた自然のくぼみを利用した直径300メートルの固定球面鏡が主要な観測装置である。反射鏡面は4万枚のアルミパネルで構成され、単一鏡面の電波望遠鏡としては世界最大の面積を誇る。1960年に建設を開始、1963年に完成した後はアメリカのコーネル大学によって運営されている。1997年には副鏡がグレゴリアン型のものに交換され、観測効率が大幅に向上している。他の電波望遠鏡と比較した特徴は、電波を集める面積がきわめて大きいこと、また大電力の電波を発射してレーダー観測ができることである。6メートルから3センチメートルの波長帯で、パルサーの精密観測、宇宙遠方の微弱電波源の探索、レーダーによる月・惑星表面の地図作成や地球大気の観測などに威力を発揮している。

 一方この観測所では、地球外文明の探索(SETI(セチ):The Search for Extraterrestrial Intelligence)研究も盛んで、1974年にはヘルクレス座の球状星団M13へ向けて人類からのメッセージが送信された。この電波望遠鏡は、天体物理学者カール・セーガン小説原作とした『コンタクト』など多く映画に登場している。

[石黒正人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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