ヘルクレス座(読み)ヘルクレスザ(その他表記)Hercules

翻訳|Hercules

デジタル大辞泉 「ヘルクレス座」の意味・読み・例文・類語

ヘルクレス‐ざ【ヘルクレス座】

北天の大星座琴座の西にあり、8月上旬の午後8時ごろ南中し、天頂近くに見える。明るい星はないが、球状星団M13がある。名称ギリシャ神話ヘラクレスにちなむ。

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精選版 日本国語大辞典 「ヘルクレス座」の意味・読み・例文・類語

ヘルクレス‐ざ【ヘルクレス座】

  1. 北天の星座。琴座の西にある。名はギリシア神話英雄にちなみ、α(アルファ)星はラスアルゲティ。付近に球状星団M一三がある。
    1. [初出の実例]「太陽系全体に毎一分間に百余里づつヘルクレス座に向ひて運行し」(出典:宇宙(1909)〈三宅雪嶺〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘルクレス座」の意味・わかりやすい解説

ヘルクレス座 (ヘルクレスざ)
Hercules

略号はHer。初夏の北天にかかる大星座。プトレマイオスが定めた。星座の主体はH字形を描く星列で,ギリシア伝説の英雄ヘラクレスの姿を描く。ヘラクレスは大神ゼウスと人間の王女アルクメネの間に生まれ,アルゴス王エウリュステウスから命じられた12の難業をみごとに成し遂げた。そのなかのネメアのライオン(しし座),レルネのヒュドラうみへび座)も星座として残っている。α星ラス・アルゲティ(ひざまずく者の頭)は巨人の頭に相当し,3.5等,スペクトル型M5と5.4等,スペクトル型G5の角距離4.″9の二重星であり,β星コルネフォロス(棍棒をもつもの)は光度2.8等,スペクトル型G8で,周期410.575日の分光連星である。球状星団M13は2万3000光年のかなたにあり,数万の星が丸く密集するありさまは中程度の望遠鏡で美しい眺めである。また太陽系が近傍系の星に対して空間を運動する方向(太陽向点)はこの星座のζ星近くで,空間速度は19.5km/sと推定される。概略位置は赤経17h10m,赤緯+27°。午後8時の南中は9月10日ころである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘルクレス座」の意味・わかりやすい解説

ヘルクレス座
へるくれすざ

夏の宵のほとんど頭の真上あたりに見えるプトレマイオスの48星座(トレミー星座)の一つ。3等星以下の暗い星々を連ねて、ギリシア神話で活躍する剛勇無双の大英雄ヘルクレス(ヘラクレス)の姿を逆さまに描き出している。もっとも目につくのは、頭にあたるα(アルファ)星で、この星はラス・アルゲティともよばれている。これは「ひざまずくものの頭」という意味で、かつて古代ギリシアではこの星座は「ひざまずくもの」とよばれており、ヘルクレスの星座名はのちに結び付けられたとされている。また、α星は明るさが100日くらいの周期で3等から4等まで変わる半規則変光星として知られているが、望遠鏡では、すぐそばに5等星がくっついた二重星として楽しめる。小望遠鏡での見ものは、ヘルクレスの腰のあたりにある大球状星団M13で、これは双眼鏡でも縁のぼけた丸い像として見られる。

[藤井 旭]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘルクレス座」の意味・わかりやすい解説

ヘルクレス座
ヘルクレスざ
Hercules

8月の宵に南中する北天の星座。概略位置は赤経 17時 10分,赤緯 27°。α星 (ラス・アルゲティ) は 3.1等と 5.4等の赤と黄の美しい二重星 (→重星 ) 。球状星団 M13 (NGC6205) がある。

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百科事典マイペディア 「ヘルクレス座」の意味・わかりやすい解説

ヘルクレス座【ヘルクレスざ】

8月上旬の夕方,天頂近くに見える星座。α星ラス・アルゲティ(二重星),球状星団M13,太陽向点を含む。ギリシア神話の英雄ヘラクレスにちなむ。

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