日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘルクレス座」の意味・わかりやすい解説
ヘルクレス座
へるくれすざ
夏の宵のほとんど頭の真上あたりに見えるプトレマイオスの48星座(トレミー星座)の一つ。3等星以下の暗い星々を連ねて、ギリシア神話で活躍する剛勇無双の大英雄ヘルクレス(ヘラクレス)の姿を逆さまに描き出している。もっとも目につくのは、頭にあたるα(アルファ)星で、この星はラス・アルゲティともよばれている。これは「ひざまずくものの頭」という意味で、かつて古代ギリシアではこの星座は「ひざまずくもの」とよばれており、ヘルクレスの星座名はのちに結び付けられたとされている。また、α星は明るさが100日くらいの周期で3等から4等まで変わる半規則変光星として知られているが、望遠鏡では、すぐそばに5等星がくっついた二重星として楽しめる。小望遠鏡での見ものは、ヘルクレスの腰のあたりにある大球状星団M13で、これは双眼鏡でも縁のぼけた丸い像として見られる。
[藤井 旭]