アワビモドキ(その他表記)Concholepas concholepas;barnacle rock-shell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アワビモドキ」の意味・わかりやすい解説

アワビモドキ
Concholepas concholepas;barnacle rock-shell

軟体動物門腹足綱アクキガイ科。ロコガイあるいはチリアワビとも呼ばれる。殻高 11cm,殻径 9cm。殻は厚く,螺層が急に大きく太くなり,体層,殻口とも広くて,外観がアワビに似るのでこの名がある。しかし,アワビとの類縁関係は薄く,殻上に水孔の列がないので区別は容易である。殻表には全面に螺肋が明らかである。南アメリカのチリ,ペルーに分布し,浅海岩礁にすむ。産地では locos (アワビの意) と称し,軟体は食用となり,日本にも輸入される。軟体の鰓下腺の分泌液は日光にあたると紫に発色するので,インカではサラレイシとともに紫の染料とした (→貝紫 ) 。

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世界大百科事典(旧版)内のアワビモドキの言及

【貝】より

…聖書ではツロ)にちなんで,テュロス紫Tyrian purpleと称された。また南アメリカの前10世紀以前のプレ・インカの遺跡でも同じくサラレイシガイやアワビモドキからとった貝紫で染めた布が出土し,現在もメキシコの太平洋岸のオアハカ州では11~3月にサラレイシガイで染色を行っている。日本では紫の染料は植物のムラサキから採取していたので,この技術はとくには発達せず,志摩の海女が布にイボニシなどで印をつけたというくらいである。…

※「アワビモドキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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