改訂新版 世界大百科事典 「アンセミス」の意味・わかりやすい解説
アンセミス
golden marguerite
yellow camomile
Anthemis tinctoria L.
ヨーロッパ原産のキク科の耐寒性多年草。和名はコウヤカミルレ。属名のAnthemisはギリシア語のanthemon(花の意味)に由来し,非常に多花性であることにより名付けられたといわれる。草丈30~60cmくらい。細長く硬い茎は,多数分枝して茂る。葉は2回羽状中裂する長楕円形葉。6~9月に,茎頂に黄色一重咲きの小菊状花を咲かせる。園芸品種がかなりあり,白色,濃黄色花種のほか,八重咲種もある。同属には100種足らずがあり,そのうち10種くらいが栽培され,A.tinctoria L.のほか,健胃剤や強壮剤,ヒステリーの薬として有名なローマカミルレA.nobilis L.(英名camomile/chamomile),一年草で白色花を咲かせ,切花に使われるキゾメカミルレA.arvensis L.などがある。カミルレはカミツレともいわれるが,これはオランダ名カミルレkamilleのなまったものである。花壇に植えたり,または切花用に使われる。性質は非常に強く,雑草化することがある。栽培は実生から育てることが多く,春または秋に種子をまく。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報