山川 世界史小辞典 改訂新版 「アヴァール」の解説
アヴァール
Avar
6~9世紀に中央アジアおよび中・東ヨーロッパで活躍した遊牧民。6世紀中頃に突厥(とっけつ)に圧迫されたその一部が西走してビザンツ帝国と同盟関係を結んだ。6世紀後半にはバヤン・ハンの指導のもとパンノニア平原(ハンガリー)を中心に勢力を伸ばしたが,ビザンツ帝国軍に大敗した(601年)。7世紀には一時ビザンツやスラヴを圧倒したが,しだいにスラヴ系諸族などが独立したため衰退した。8世紀の状況はほとんど知られていないが,791年カール大帝に敗れ,その首長はフランク人に服属した。803年反乱を起こしたが鎮定され,以後スラヴ民族と同化融合した。中央アジアにいたものを真アヴァール(モンゴル系か?),西走したものを偽(ぎ)アヴァール(トルコ系か?)という。真アヴァールは柔然(じゅうぜん)であるという説があるが,確実ではない。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報