化学辞典 第2版 「イオン会合抽出系」の解説
イオン会合抽出系
イオンカイゴウチュウシュツケイ
ion association extraction system
イオン対抽出系ともいう.水-有機溶媒系で水相中の荷電した化学種を無電荷のイオン会合体(イオン対)として,有機溶媒に抽出する系をいう.Fe3+ の塩酸溶液からのエーテルへの抽出,UO2+のリン酸トリ-n-ブチル(TBP)による抽出などに代表されるオキソニウム抽出系,テトラフェニルアルソニウムイオン [As(C6H5)4]+ に代表されるオニウムイオンと錯陰イオンのイオン会合体を抽出する系,フェナントロリンおよびその誘導体の Fe2+ や Cu+ キレート陽イオンが過塩素酸などの無機陰イオンと会合体を生成して抽出される系,などがある.さらに高分子量アミンによる金属,非金属イオンの抽出も,イオン会合系として分類される.これに属する抽出系では,塩析効果により抽出率が増大する例が多い.キレート抽出系に比べて試薬,共存塩濃度が大きいために,試薬自体の会合,活量の影響などがある.キレート抽出系が微量金属イオンの分離に適しているのに対して,この抽出系は比較的多量の物質の抽出分離に適している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報