日本大百科全書(ニッポニカ) 「イオン対」の意味・わかりやすい解説
イオン対
いおんつい
ion pair
溶液中で陰陽両イオンがとくに接近してつくる会合体。また、その現象あるいは状態をイオン会合ion associationという。溶媒の誘電率が低く、イオン半径が小さく、イオン価の大きいイオンのときにイオン対が生成しやすい。イオン濃度が高くなるほど、生成しやすくなるのも当然のことである。イオン対がさらに他のイオンと会合したり、イオン対どうしが会合したりすることもある。見かけ上、イオンへの電離度が減少するため、導電率や粘性が完全に電離した場合とは異なる値を示す。気相中では、分子の電離によって生じた陰陽両イオンの1組をイオン対ということがある。
[岩本振武]