イクネウタイ(その他表記)Ichneutai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イクネウタイ」の意味・わかりやすい解説

イクネウタイ
Ichneutai

『追跡者たち』。ギリシアのソフォクレスのサチュロス劇。オクシュリンコス出土のパピルス文書のなかから発見されたもので,約 300詩行が残っている。ホメロスの『ヘルメス賛歌』に題材を仰ぎ,アルカディアの山中に住む半人半獣のサチュロスたちとシレノスが,アポロン神の命により,盗まれた牛の群れを捜す場面を劇に仕立てたもの。盗人は生れたばかりの神ヘルメス,彼は牛の皮を亀の甲羅に張って竪琴をつくる。足跡をたどってきたサチュロスたちはほら穴の中から聞える不思議な音色に驚き,ヘルメスの乳母キュレネから楽器の由来を聞かされ,その幼児神こそ盗人であるとにらむ。劇の結末は不明であるが,ソフォクレスのサチュロス劇の詩法を明らかにした重要な作品断片である。

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